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子宮内膜症→チョコレート嚢胞(ここまで自覚なし)→明細胞腺がん発覚。今は経過観察中。ふだんは漫画やアニメの話題など。

ARMs 「愛すべき娘たち」

 

3月もなかばのことである。

病理検査の結果が出て、すぐにでも治療しなさいと言われなかったら、

ある舞台のチケットをとろうと私は思っていた。

その舞台とは、ARMsの「愛すべき娘たち」。

何に惹かれたって、それは役者さんたちの顔ぶれである。

十数年前によく観に行っていた演劇集団キャラメルボックス

真柴あずきさんと坂口理恵さんに、声優の緒方恵美さんという豪華さ!

これはもう、行くしかないでしょう! 

と。病理検査の結果はたぶん大丈夫と変な自信を持ちながら待っていて、

その結果はグレーだったけれど、今すぐ治療するわけでもないので

ネットでチケットを予約したのだった。

 

もっとも、公演直前の腫瘍マーカー騒動に踊らされてしまったが、

もうチケットも押さえていたので、もし急に入院しろと言われても

公演には行くつもりだった。

 

さて、前置きはこれで終わり。

これから先は、公演当日の内容を書く。

 

 

H25年4月20日(土)

 

久しぶりに演劇を見た。

演劇といっても朗読劇と呼ばれるもので、役者さん達はマイクの前で

台本を見ながら演じるのであるが、マイクの存在を忘れるほどだった。

必要最小限の衣装と小物で登場人物に成ってマイクの前に立ち、

そして次の出番を待つ役者さんと入れ換わる。

マイクを中心にして次々と役者さん達が入れ換わるさまはなめらかで、

静かなダンスを見ているようでもあった。

 

朗読劇の題名は、「愛すべき娘たち」。

よしながふみさんの漫画が原作だが、私はまだ原作を読んでいなかったので、

あえて読まないまま公演を観に行こうと思った。

そして、公演が終わった後に原作の漫画が届いたので読んだのだが、

頭の中ではそれぞれの配役の声が脳内再生される始末。

それぐらい、真柴さん(A)、坂口さん(R)、緒方さん(M)、

木下さん、笹川さん、音楽のpf.岩瀬さん、 gt.目木さん(s)たちが

創り上げた空間が、ぴったりとはまっていた。

 

物語の内容も、その時々の自分に当てはめていけるものだったので、

各話のあちこちで笑ったり泣いたりした。

 

幕間として、緒方さんの歌が入るのもよかった。

物語の余韻に浸るうちに、沁み入る歌声。

しかも伴奏まで生演奏というぜいたくさ。

 

舞台はあっという間に終わってしまって、90分がとても短く感じられた。

アンコールは2回もでてきてもらえたが、どちらもちょっとしたトークと

あいさつで面白かった。

音楽のように、アンコールに1曲、2曲とはいかないから

こういう時に何か言えるのは頭の回転がいいのだろうな、と思う。

 

公演からすでに10日がたつが、いまだに余韻が残る。

思い切って行ってよかったなあ・・・としみじみ思える舞台だった。

 

しかし、生の声(マイクを通していても)の持つ力は、半端ではない。

舞台は五感を使って観るものだから、全身でその物語を受け取っている。

そのためか、原作を読んでさらに自分の中にしっかりと作品の世界が

根づいてしまったように思えてしまう。

 

もちろん、原作となったよしながさんの漫画がすばらしいからこそ

ここまでの舞台になったのは言うまでもない。

こういう、精神的に何か奥底を見るような作品を描ける漫画家さんは

あまりいないのではないか、と思う。

漫画だと登場人物の表情やコマ割で心理的なものが表せるから、

目からもずどん、とくるのだ。

絵もうまいし、よしながさんの作品を映像化してみたい、と思う人が

多いのはうなずける。

 

いろいろなタイミングにはさまれたこともあって、

この作品は、私にとって大事なもののひとつとなった。

できれば、また再演と、ARMsの違う作品を観てみたいと思う。 

  

 

愛すべき娘たち (Jets comics)

愛すべき娘たち (Jets comics)