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子宮内膜症→チョコレート嚢胞(ここまで自覚なし)→明細胞腺がん発覚。今は経過観察中。ふだんは漫画やアニメの話題など。

「この世界の片隅に」

※ 下書きに加筆しました。

 

 

のっけから書いてしまうが、この映画は2016年最高の映画だと言い切ろう。

戦争を扱ってはいるが、日常生活の中に非日常が少しずつ紛れ込んでいく感じ。

ほんわりとした画面なのに、時々胸をがしりとつかまれるような痛みを

ところどころ感じるし、空襲のシーンは本当に怖かった。

でも、また観に行く予定。

 

  

 

原作は何度も読み返している漫画で、作者はこうの史代さん。

こうのさんは「夕凪の街 桜の国」「ぼおるぺん古事記」等、

実にいろいろなジャンルの作品を描かれているのだが、

すべての作品において、日常というものをまず第一に大切に描く作家さんだと

個人的に思っている。

そんな作品群の中で、「この世界の片隅に」がアニメ化されると聞いた時は

期待半分、不安が半分だった。

そしてそのうえ、製作費をクラウドファンディングで募ると知った時、

たいして考える時間もなく速攻で参加した記憶がある。

 

このクラウドファンディングに参加すると、

不定期にメンバーズ通信がメールで送られてきたり、

本作の主人公であるすずさんからはがきが届くので、

否応なしに映画の完成を待ちわびる結果となった。

 

そしてやっと映画が完成したのだが、

すずさんの声を担当するのが声優さんではなく、

のんさんという女優さんになったと知った時は不安の方が勝ったと

正直に書いてしまおう。

私は、基本的には声の仕事は専門職である声優さんがすべきだと思っている。

でも配役決定のエピソードによると、監督たっての希望という事だったので、

もうそれなら仕方がない、と無理やり納得したのだった。

ところが!

映画を観てみたら、そんな不安はどこかへ行ってしまった。

冒頭から、のんさんはすずさんだった。

映画を観てから原作をまた読んでみた時、すずさんの声がなんと

のんさんの声で再生された時は自分でも驚いてしまった。

それぐらい、ぴったりすぎたのだ。

のんさん、そして片渕監督、「ええっ!」と驚いてしまって

失礼しました。

 

そうそう。

映画化と言っても完全に映画化されたわけではなく、

リンさんという登場人物のエピソードが途中から端折られているのである。

理由は資金の関係だそうで、泣く泣く切らざるを得なかったとか。

できれば完全版も観てみたい。

さりげないけど、すずさんが周作さん(すずさんの夫)を見送る前に

そっとつける口紅には、リンさんと語られなかった登場人物の

エピソードが欠かせないはず、と思っている。

 

※ ここまでが1回目鑑賞時点で書いたもの。

 

リンさんのエピソードだが、興行収入が10億円を越えたら作れるかも、と

スタッフさんのつぶやきで見かけていたのだが、今では越えているので

もしかして本当に作ってもらえるのかも?!と期待している。

今公開されているバージョンもいいので、完全版と2本入りのBDは

ぜひ買わせていただきます!!

 

2回目を観に行ったのだが、なんとなく観客の平均年齢が高いように思う。

ツイッターを見ていると、当時を知る人たちが映画に入りこんでいて、

こんなに観客の年齢層が広い映画もそうそうないのではないか・・・

ということではなく!

当時を知る人が拒絶反応を起こさない映画、ということが大事だと思う。

 

 ところで、戦争を扱っているからと言って、

涙を強制するような内容ではないです。

戦争反対! と強い語調で主張しているのでもないです。

 

とにかく、気になったのなら「観てみてくださいね。」としか

言う事ができない映画です。

 

戦争を体験した両親に見せたかったなあ・・・。

母は拒絶反応を起こしそうだし(昔から戦争モノは嫌い)、

父はすでに他界してしまったけれど、あなたが日本を離れている間、

日本の人たちはこんな生活をしていたんだよ、と見せたかった。