「屍者の帝国」
伊藤計劃氏の小説3作(正しくは、うち1作は共著)を劇場アニメ化すると
知ったのは、たしかノイタミナ枠のアニメを見ていた時だった。
内容が内容なのでどうなるのかな?と思いはしたけれど、
じわじわと情報が開示されていく過程で、
キャラクターデザインが好きなイラストレーターさんだったので
期待は大きくなった。
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さて。「屍者の帝国」だが、これは冒頭部分だけが伊藤氏による遺稿で、
そのあとはご友人の円城塔氏が書き継がれた物語である。
この作品は、映画や小説などで「フランケンシュタイン」を先に知っておくと
「ああ!」となる場面が多いような気がする。
特に「ビクターの手記」や「フランケンシュタインの花嫁」については、
映画でいきなり出てくるとちょっと唐突過ぎるような気がした。
原作と劇場版アニメとの大きな違いは、フライデーが主人公ワトソンの
友人に置き換えられていることだろう。
私は知っている範囲での、伊藤氏と円城氏を重ね合わせて映画を観ていた。
禁忌を犯してまでも、もう一度会いたい友人。
映画は息つく間もなく舞台が変わっていくのだが、
クライマックスの目に見えないものを視覚化すると、どうしても
ファンタジー的になってしまうようだ。
個人的には美しいと思ったけれど、そのあたりは個人的な好みにわかれるかも。
屍者のメンテ場面がどうしてもグロテスク(血が飛ぶのは当たり前・・・)に
なってしまうので、そういうものが苦手な人にはあまりお勧めできない。
全体的に中身が濃いので観た後は疲れてしまったのだが、
時間が経つにつれてまた観たいかも、と思わせる映画だった。
エンドロールが凝っていて、あれは意表をつかれた。
後日談もあるので、エンドロール後も席を立てない仕様になっている。
ところで、ほんとうにどうでもいいことなんですが、
ハダリーの胸が細長すぎてちょっと違和感があった。
普通に丸い胸だったらよかったのに(そこ?!)。